新築マンションの定番

独特の空間があり、施主同士が疑似家族のような共同体になっているのだ。 東京ではあまり見かけない関係といえる。
企業やメディアがバックアップするものではなく、完全な自主企画である。 東京のかもしれない。
野球選手の親の住宅ボックスも、ボールや球場のかたちを使うS藤の作品だが、実物は決して嫌味ではない。 S藤は福島において幾つかの住宅を手がけているが、彼の設計した自邸では、興味深い活動を展開している。
若手の建築家や研究者をゲスト講師として招き、「建築あそび」というイベントを数か月に一度くらいのペースで開催しているのだ。 人数を限定し、十数人の規模で行うため、泊まりがけで、じっくりと語りあえるのも大きな魅力になっている。
例えば、若手の建築家を中心に、W辺豊和、H田達朗、T中浩也、F本壮介、M泰裕、Y中新太郎、太田浩史らがレクチャーを行い、筆者も講師として呼ばれたことがあった。 その内容はきちんと記録されており、ホームページで読むこともできる。

古い民家を増改築した湯島もみじを訪れた。 建築家が設計したものではなく、現代美術の作家、N村政人が手がけているプロジェクトだ。
彼は、コンビニエンスストアやマクドナルドの看板を作品化したことで知られるが、ハウスメーカーと共同し、商品住宅を展示シンポジウムとはまったく違う世界だ。 地方において、こういうやり方でコミュニケーションの場をつくることが可能だと知り、大いに感銘を受けた。
自邸や過去に手がけた作品を開放し、施主同士あるいは建築関係者を含めた、建築あそびという公共圏が成立していることは実に貴重だと思う。 地方に文化的な刺激を与え、人をつなぐ芸人としての建築家(実際、S藤は施主をよく笑わせる)。
ハコをつくるだけではなく、こうしたソフトも重要な仕事ではないだろうか。 同じような活動が各地に増えると、日本はもっと豊かになるはずだ。
場に持ち込んで、プレハブ住宅をアート化するなど、建築の領域に接近する活動も展開している。 2002年から、湯島もみじのプロジェクトでは、ついに自邸兼アトリエとして実際の建築をセルフビルドでつくりはじめた。
旗竿状の敷地であり、道路から奥まったところに、小さな玄関ともみじの木が貫くベランダが見える。 内部では、二階の床と天井を外して、気持ちのいい吹抜けのアトリエ空間をつくり、手すり代わりにガードレールを設置する。

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